今回は日本語に関するちょっとした笑い話です。
以前に仕事でミャンマーを訪れている際に、お付き合いのあった取引先関係で日本語教師のまねごとを頼まれたことがありました。
今回はそんななんちゃって日本語教師をやろうとしたときにやらかしたとある失敗談について紹介しようと思います。
友人にこの話をすると「そんな間違いするやついねーだろ(笑)」って言われることが多いですが、まあ、僕以外にする人もいるかもしれない失敗というか勘違いなので共有しておきます。
目次
日本語の試験に種類があるなんて全然知らなかった
ある日知り合いのミャンマー人から、日本語を教えてくれないかと頼まれました。具体的には日本語試験5級の合格を目指しているという話でした。
日本語教師の経験はないけど基礎を教えるくらいならできるかなー
と思って引き受けることにした僕はホテルに帰ってから5級の試験問題を確認してみました。
「日本語」「試験」
グーグルにこんな検索ワードを入れたと思います。
そして出てきたサイトの問題例を解いてみました。
でも解いたのは5級ではなく1級です。
やっぱり日本語を母国語としている者としては5級よりも1級のレベルの方が気になったので(笑)
で、例題を軽く解いてから5級のレベルを確認しようとしていた僕はまさかの事態に遭遇します。
なんと1級の問題が全然解けなかったんです(泣)
いやー、あれはかなりへこみましたね。
だって日本人なのに外国人が受ける日本語テストの問題が全然解けないんですよ(苦笑)
おいおい嘘だろ?
日本人でもわからないような問題を外国人に出すのか?
いやいや、いくらなんでも難しすぎるだろ(笑)
なんて自問自答しながらそのサイトを色々眺めていたら、気になる文章を見つけました。
ん?すべての人?
外国人のための試験じゃないの?
ていうか写真に写っている人みんな日本人ってどういうこと?
そこで改めてインターネットで調べ直してみたところ、「日本語の能力を図る試験は大きく2種類に分かれている」ということに気がつきました。
そんなこと1mmも考えてなかったので本当にビックリしましたね(笑)
日本語能力試験(JLPT)と日本語検定試験の違い
実は日本語の試験は、大きく以下の2つに分かれています。
試験名称 | 対象者 |
日本語能力試験 | 日本語を母国語としない人(主に外国人) |
日本語検定 | 日本語を母国語とする人(主に日本人) |
つまり僕の知人が合格を目指していたのは前者の日本語能力試験5級(N5と呼ばれます)であり、日本語検定5級ではなかったわけです。
まさか日本人用の日本語検定があるなんて考えたこともなかったので「検索で出てきたサイト=外国人が受ける日本語試験のサイト」と早とちりをしてしまったわけです(笑)
日本人が日本語の試験なんて受けたって意味ねーだろ
って思ったりもしましたが、よく考えてみれば漢字検定があるんだから日本語検定もあるよなーって納得しました。
それにオーストラリアに留学してから知りましたが、英語圏の人達もIELTS(アイエルツ)などの英語試験を受けて自分の英語力の証明にしています。(有名な英語学校などはネイティブであっても英語能力の証明がないと講師になれないそうです。)
そんなことを考えていたら今度はそれぞれの試験の違いをより詳しく知りたくなって一通り調べました。
で、せっかく調べたのでまとめておきます。
日本語能力試験の概要
認定レベル
N1からN5の5種類の認定レベルがあり、N1が一番難しいです。
N1試験に合格したミャンマー人と話したことがありますが、もはや日本人と変わらないレベルかそれ以上です。
「〇〇を知っていますか?」という僕からの問いかけに対し「存じ上げておりません。」なんて回答が瞬時に返ってきたときは度肝を抜かれました。
アナタハイッタイドコデソンナニホンゴヲナラッタンデスカ、、、
30年近く生きてきて、「存じ上げておりません」なんて指で数えられるくらいしか聞いた事ないですよ(笑)
でもこんな感じなんで、N1の合格者と話していたら日本語が固すぎて聞いていてムズムズしてきました。
N1の人も「が」「に」「を」などの助詞をたまに間違えることがあって、それはやっぱり気になる。
たぶん僕がオーストラリア留学中にネイティブに英語で話しかけていたとき、向こうも同じことを考えていたんだろうなあって思ったらちょっと恥ずかしくなってきました(泣)
でも一番恥ずかしかったのは、シェアハウスから引越しをするときにオーナーとした会話ですねー。
「引越しします」って言おうとしたら、「この家を別の場所に移します」って言っちゃったんですよ(泣)
オーナーの許可なく勝手に家をぶっ壊して移動するとかやばすぎるでしょ(笑)
今回の話とはずれますが、英語の小ネタとして書いておきますね。
I move this house out(家をどかします)
と
I move out of this house(引越しします)
は似ているようで全然違うので気をつけてください、、、
話を日本語能力試験に戻しますね。
同じ認定レベルの人たちの間にも実力差があるので一概には言えませんが、一般的にN3レベルの合格者であれば通常のスピードで会話しても話が通じます。
以前にN3の認定を持っているミャンマー人と一緒に仕事をしたことがありますが、簡単な言い回しを選べば問題なく会話できました。ただし漢字の読み書きはあまりできません。
それぞれの認定レベルの詳細な基準はこちらから確認してください。
受検者数の推移と受験可能な国
日本語を公用語とする国は世界中で日本だけなので需要はそれほど高くないと思っていましたが、どうやら違うようです。
1984年に試験が開始されて以来、受験者数は右肩上がりに増え続けています。
同様に受験できる国も徐々に増えていて、現在は80以上の国と地域で受験可能です。
ちなみにミャンマーでは、ヤンゴンとマンダレーで受験できます。(ネピドーが首都なのに、首都では受験できません。まあほとんど誰も住んでないですからねw)
この地図のオーストラリアに点が打ってあるのを見ていて思い出しました。
以前、僕がオーストラリアに留学していた頃、友達の香港系オーストラリア人が小学校で日本語教師をしていたんですよ。
その彼によると、理由はよく分からないけど昔からオーストラリアの小学生は第2外国語として日本語を習うことが多いらしいです。
でも卒業してから全く使わないんでみんな忘れちゃうそうです。
それを聞いてもったいないなあと思ったんですけど僕も人のこと言えませんでした。
大学で習っていたドイツ語を大学を卒業して1年以内に忘れたからです(泣)
人は忘れる生き物なので仕方ないですね。
覚えていたかったら継続的に復習しないと、、、
まあなんでもかんでも覚えようとするとパンクするので優先順位は必要ですが。
最新回の受検者数と合格率
過去試験のデータはこちらで公開されています。
以下の写真は、データが公開されている最新回(2018年12月)の情報です。
ただ、この表は数字が多すぎるので情報を抜粋しました。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
N1 | 115,005 | 33,524 | 29.2% |
N2 | 160,299 | 57,184 | 35.7% |
N3 | 127,534 | 44,717 | 35.1% |
N4 | 76,490 | 26,763 | 35.0% |
N5 | 59,667 | 27,167 | 45.5% |
N5のみ合格率が4割越えですが、その他の級はどれも3割程度の方が合格されているようですね。
外国人向けの試験なので当然といえば当然かもしれませんが、日本語能力試験の受験者は国内よりも海外のほうが多いですね。2倍以上も数字に開きがあります。
応募者・受験者の属性および受験理由
受検者の6割が学生、3割が社会人ですね。
(日本以外の)自分の国で日本語を話せると就職で有利になるからと回答している人が23%います。日系企業や旅行ガイドなどの職に就きたいということでしょう。
自分の実力を知りたいという人が最も大きな割合(33%)を占めているのは面白いですね。
N1の難易度はどのくらい?
さてここまで読んで、最難関のN1がどれほどの難易度なのか気になり始めていませんか?
ちょっとここで例題を解いてみましょう。
日本人にとっては簡単ですね。
正解は4です。
これも問題ないですね。
正解は1です。
これも問題ないですね。
正解は1です。
では最後に僕が驚いた出題です。
このような文章問題がいくつも出されているようです。
漢字にふりがなもふられていないし、読めたとしても読解力が求められます。
このような問題を外国人が制限時間内にいくつも解くのはとても大変です(泣)
ちなみにこの問題の正解は3です。
補足ですが、文章問題が苦手だから他の出題分野で点数を取って合格するという手は使えません。
なぜなら総合得点だけでなく、分野ごとの得点もすべて基準点を超えていないと合格にならないからです。
どの分野でも最低3割以上の正解を取らないと合格できないというのはなかなかきついかもしれません。
特にN4~5と違って、N1~3は読解が独立して1つのカテゴリになっているので、読解を捨てて文字や語彙で稼げないのはつらいですね。
では次に日本人向けの日本語検定試験について詳しく紹介します。
日本語検定試験の概要
認定レベル・受検者数・合格率
1級から7級までありますが、正答率によって準認定になることもあるため、実際は1級から準7級までの14段階の認定レベルが存在します。
また準6級以上は日本語能力試験と同様に、総合得点だけでなく出題分野ごとの得点もすべて基準値(50%以上)を超えていないと合格になりません。
過去の受験データはこちらで公開されています。
確認したところ、どの回も受検者の数はだいたい4万人前後です。
以下は公開されている最新回(2019年6月)のデータです。
受験者全体に占める1級受験者の割合は、わずか1.6%
その1.6%の受験者のうち、わずか15%しか1級に合格していないので、いかに日本語検定1級が狭き門というかレアな資格かということが分かります。
各級の合格率を見ると2級から急激に下がっているので、そこから急激に問題が難しくなるんだと思います。
次に受験者の属性です。
小学生から大学生までで全体の約9割になるので、日本語検定の受検者はほぼ学生ですね。
日本語検定の資格を持っていると何に使える?
日本人が日本語の資格を持っていて何に使うのかなあと思いませんか?
調べてみると、実はそれなりの数の企業が採用時に日本語検定の資格を考慮に入れていることが分かりました。
有名な会社を挙げると、アサヒ飲料、NTTドコモ、東京ガス、三井住友海上火災保険などです。
全リストはこちら
日本語検定1級を解いてみよう
では最後に僕が絶望した日本語検定1級のサンプル問題を解いてみましょう。
いやー、全然分かりません(笑)
選択式じゃなくて書けっていうのが本当にきつい。
まじで分からん。
答えは
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
こちら
ではもう一問!
「一」はなんとなく触手っぽい。
まあ「一」の①と④は見たこともないのでそもそも除外というか諦め。で、②は食べ物関連のときに使うものだから③の触手だ!って乱暴な回答です。
「二」はもう意味不明です。実用レベルを完全に逸脱していると思います。
知っていたら逆に気持ち悪い(言い過ぎました。ごめんなさいw)
答えは
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
こちら
奇跡的に「一」は正解です。
いやー難しすぎる、、、orz
もし日本語検定1級に挑戦してみたい、またはもっと1級の問題を解いてみたいという方がいれば、アマゾンなどで日本語検定1級の問題集を購入して眺めてみてください。
ここでは紹介していないような度肝を抜かれる日本語が連発しているかもしれませんね笑
母国語話者でも合格できないこともある
僕は生粋の日本人ですが、日本語検定試験の1級に受かる自信はありません。
というか今の状態では絶対に受かりません。
なんせほぼすべての例題が不正解でした(笑)
でも母国語話者が1級に受からないという現象は実は日本語だけに限った話ではありません。
僕がオーストラリアに留学していた頃に受けたIELTSという英語の試験でも同じ話がありました。IELTSの最高得点9.0は英語のネイティブでも滅多に取れない点数だったんです。
どんな試験でもそうだと思いますが、やっぱり1級とか満点とか、その試験のトップに上り詰めている人たちはものすごい勉強しているんですよね。
ぜひ日本語検定1級を持っている方と飲みに行ってみたいですねえ。きっと日本語にまつわる面白いネタとかいっぱい知ってますよね。
日本語検定とか日本語に関する面白いネタを持っている方がこの記事を読んでいらっしゃいましたら、ぜひコメントなどいただけるとありがたいです。よろしくお願いします!
ではまた
周登
もし双方の難易度を比較したとすれば、日本語検定6級は日本語能力試験N?ぐらいでしょうか。
日本語検定の公式HP(よくある質問)によると、日本語検定6級は小学校中高学年に相当するとされています。
これは、日本語能力試験の公式HP(各級の認定目安)によると、N3〜N2に該当するように思います。
実際にN3の資格を持つ人と話した感じだと、N3級の合格者の中にもレベルのばらつきはあり、日本の小学生(中高学年)に相当するのはN3上位〜N2くらいという印象です。
公式の比較表はないと思いますのであくまで私の主観、参考程度ということでご理解いただければと思います。