ビッグイシュー367号に面白い記事が載っていました。
なんと「働かなくても年間130万円もらえるようにすれば世界の貧困問題は改善される」らしいです!
いわゆるベーシックインカムという考え方ですが、これまでの説では、所得制限がありました。
例えば、年収1千万円以上の人は除くとかですね。
しかし、ビッグイシュー367号で紹介されているベーシックインカムには所得制限がありません。
老若男女、貧富の差に関係なく、誰でも年間130万円もらえます。
これまでのベーシックインカムと区別する意味で「ユニバーサルベーシックインカム」と呼ばれています。
夢のような制度ですが、そんなことをやったら財源が確保できないし、お金をもらってもすぐにお酒やギャンブルに使ってしまって結局税金の無駄遣いになるのでは?と思ってしまいますよね。
でもどうやら税金の無駄遣いにはならないし、財源も確保できるという研究結果が出ているようです。
ということで今回は、ユニバーサルベーシックインカムについてビッグイシュー367号の紙面+αの情報をお届けします。
目次
世界の大富豪26人の総資産とその他38億人の総資産は同じ額
国際NGOのオックスファムが発行しているPublic Good Or Private Wealth 2019というレポートによると、世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち、所得の低い半数にあたる38億人の総資産と同額の富を所有しているそうです。
マイクロソフトのビルゲイツ、アマゾンのジェフベゾス、フェイスブックのマークザッカーバーグなどアメリカの大富豪が多いと思いますが、彼らの富が世界の半分と同等というのは何度聞いても耳を疑いたくなるほどすごい、、、そしてうらやましい、、、
でも使いきれないくらい持っているんだから分けてくれよって思いますよね。
で、それを実際にやってしまおうというのがベーシックインカムであり、ユニバーサルベーシックインカムです。
世界人口の半分と同等の富を持っている人からならどんだけとっても大丈夫でしょう。反発が来るのは間違いないですが、全世界で課税できれば一人当たり130万円くらいなら何とかなる気もします。
税金逃れができないように全世界が同様の累進課税を行わなければならないですが、きっとどこかの国は金持ちに有利な政策を取るはずなのでどれくらい実現性があるのかは僕にはさっぱりわかりませんが、、、
【鶏とたまご論争】ギャンブルにお金を使ってしまうから貧乏なのか?
大富豪に課税して財源は集まったとしましょう。
さて、実際に全員に年間130万円を配ったらどんなことが起こるでしょうか?
ベーシックインカムに反対する人たちはきっとこんなことを言うはずです。
「お金を渡してもお酒やギャンブルに使ってしまって生活は改善されない」とか「お金の管理をうまくできないやつが貧乏になるんだからお金を渡したって無駄だ」とか
特に日本のような自己責任という意識が強い国ではなおさらベーシックインカムは受け入れづらいかもしれません。
ビッグイシューの販売員はホームレスですが、日本人のホームレスに対する印象というか考え方は結構冷たいと思います。
ホームレスになったのは自分が悪いんだろう。自己責任だ。そういうことを平気で言う人たちが僕の周りにたくさんいます。
でもそういう話を聞くと、本当に自己責任なのかなあって思ってしまいます。
確かに自己責任の人もいると思いますが、ホームレス=自己責任というのは乱暴でしょう。
そしてホームレスになったことのない我々は、ホームレスから抜け出すのがどれほど難しいのか理解できていないのです。
ホームレスに限った話ではなく貧困全般に言えることですが、お金を持っていない人がお金を稼ぐのは難しいですよね。
そして長く貧困状態に置かれていると、精神的にも体力的にも弱ってきてまともな判断ができなくなり、お酒やギャンブルにはしったり、だまされたり、身の丈に合わないローンを組んでしまったりします。
それを証明した研究はいくつも出ているんだそうです。
つまり、「ギャンブルをするから貧乏になるのではなく、貧乏だからギャンブルをしてしまう」ということです。
僕も含めて多くの人がその事実を知らないので、貧困は自己責任だ、自分の力で抜け出せという考え方になりがちです。
自分はホームレスじゃないし、これからもならないから関係ないと切り捨てないで、ホームレスやワーキングプアなどの問題にとらわれて苦しんでいる人に寄り添ってみると違った景色が見えてくるかもしれません。
どうして社会保障制度で貧困者を救えないのか?
生活保障制度に代表されるように日本にも、そして世界の国々には社会保障制度があります。
貧困に苦しむ人に手を差し伸べる制度です。
日本の生活保障は、すべての人が憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を送れるように、最低限度以下の生活をしている人を対象にお金を渡していました。
しかし、この「最低限度の生活」というのがやっかいです。
なぜなら最低限度の生活を送っている人は、その生活から抜け出す力を蓄えられないからです。
生活保障を抜け出したくて、安月給だけど仕事をし始めたら、生活保障を打ち切られてさらに貧乏になるなんて問題は全国で起きています。いわゆるワーキングプアです。
投資だってそうでしょう。一般的に、資金に余裕がない人が始めたってお金はたまりません。
スポーツだって勉強だってそうです。生きるか死ぬかという極限の状態、ものすごいプレッシャーをかけられ続けた状態でやったってうまくいくわけがありません。
人間なにごとにもある程度の余裕は必要です。それがないと成長できないんです。
でも生活保障制度の利用者には余裕がありません。
このように社会保障制度が貧困者を貧困状態にとどめてしまう国は日本以外にもたくさんあり、ユニバーサルベーシックインカムの提唱者が住むイギリスもその一つだそうです。
余裕があったら生活はどう改善するのだろうか?
ギャンブルをする貧乏なのではなく、生活に余裕がないからギャンブルをしてしまうという理屈が真実ならば、生活に余裕を持たせれば環境は改善されるはずです。
ということで、その仮説を検証するために2009年にイギリスで画期的な実験が行われました。
13人のホームレスにそれぞれ無償で年間45万円を渡して自由に使ってもらったのです。
その結果は本人たちにとっても、そしてイギリス社会にとってもうれしいものでした。
なんと、13人中9人がホームレス状態から抜け出したのです。
行政の支援などはないですよ。ただ45万円を渡して自由に使ってもらっただけです。
それまでの批判では、どうせお酒やたばこなどの嗜好品に使って終わりだろうと思われていましたが、実際には電話や補聴器などの必需品、料理教室やリハビリなどの自己投資に大部分が使われていました。
イギリス政府が13人のホームレスをどうやって選んだのかはわかりません。でもホームレス状態をすぐに抜け出せそうな人を狙って選ぶことは難しいと思うので、お金に余裕があればホームレス状態を抜け出せるということなんだと思います。
実験に要した費用は45万円×13人+諸経費で約750万円
一見すると高すぎて割に合っていないように見えますが、実はそれ以上の経費削減効果がありました。
というのも、イギリス政府の試算によると、ホームレス一人当たりの社会負担は警備費や訴訟費用などを控えめに見積もって年間で約390万円かかっていて、9人がホームレスから抜け出したので、年間で3510万円の削減になったからです。
もし2年目もホームレスに戻らなければ7000万円の削減、3年目もホームレスに戻らなけらば1億円の削減です。
すごい効果ですよね笑
ぜひ日本のホームレスにも同じ実験をやってみてほしいです。
というか、ユニバーサルベーシックインカムやってほしいです!!!
130万円あったら何をしようかなあー
ビッグイシューを売っている場所やその他の詳しい情報は公式ホームページから確認できます。また、ビッグイシュー基金を通して寄付を行うことも可能です。興味のある方は以下の公式サイトを確認してみください。
ではまた
周登
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