ビッグイシュー360号のテーマは「台風最前線」でしたが、僕はもっと気になる話題が2つありました。
- 2018年にキタシロサイが絶滅していたこと
- ブルネイで男性同士の性行為が死刑とする法律が施行されたこと
どちらも耳を疑うような話ですが、実際に起きてしまったことです。
今回はこの2つについて少し詳しく紹介していきます。
目次
キタシロサイが自然交配で増える可能性が消えた!
キタシロサイはアフリカ大陸に生息するシロサイの亜種で、1970〜1980年代にかけて中国の漢方薬やイエメンの短剣の持ち手のために乱獲され、個体数を激減させました。
1960年代には2000頭以上いたようですが、1980年代にはわずか15頭まで激減、2004年には最後の野生個体が密漁で殺され、地球上から野生のキタシロサイは姿を消しました。
その後は、わずかに残った個体を動物園などで保護していたようですがなかなか交配がうまくいかず、2009年、ケニアのサバンナに最後の4頭を放しました。(ただし密漁を防ぐために近くに警備隊が控えていたようですが)
しかしサバンナに放たれてからも交配はうまくいかず、2018年3月、地球上に存在する最後のオスのキタシロサイが亡くなってしまいました。
乱獲が始まってから半世紀も経たずに地球上から一つの種が消えてしまうなんて本当に悲しいです。
わずか20年ほどで2000頭から15頭まで激減するということは、少なく見積もって、毎年100頭以上は確実に殺されています。
もしキタシロサイの角を使った漢方薬に効果があればちょっとは救われるかもしれませんが、科学者たちは角を使った漢方薬に科学的な効果は認められないと言っています。
本当に救いようがありません。
また、イエメンの短剣の持ち手だってキタシロサイの角以外でも作れるでしょう。
でもこういう記事を読んでいると、自分も気がつかないうちに野生動物の絶滅に加担しているのではないかと不安になります。
今、この記事を書くために使っているパソコンが環境破壊に繋がっていないか。
座っているソファや食べているものが致命的な破壊を招いていないか。
地球規模で考えるときっとどこかで絶滅に加担しているはずです。
2000年に入ってから絶滅した動物
実はキタシロサイ以外にも多くの動物が2000年以降のたった数年で絶滅しています。
- ピンタ島のゾウガメ
- 揚子江のイルカ
- 西アフリカのクロサイ
- カリブのモンクアザラシ
- マリアナ諸島のマガモ
- ピレネーアイベックス
- アラオトラ湖のカイツブリ
- カオグロミツドリ
- 日本のトキ
車やパソコンなどは壊れたら修理すればいいですが、失われた命は二度と戻ってきません。
まして種が絶滅してしまったら同族を見ることさえできなくなります。
日本のトキが絶滅したことからわかるように、動物の絶滅は遠い国の話ではないですよね。
SDGsという国際的な目標の中でも触れられているように、地球環境を守りながら発展していくためには先進国が自分たちの責任を果たしていく必要があるんです。
ブルネイのイスラム法で男性同士の性行為が死刑になった
さて、ここで一気に話題は変わって、次はブルネイのジェンダー(性別に関わる)法律の話です。
ジェンダーに関する議論は日本もかなり遅れていると思いますが、ブルネイで施行された新しい法律は遅れているなんてレベルじゃありません。
男性同士で性行為をすると死刑になるんですよ!
でもなぜか女性同士なら鞭打ちだけで済みます。(まあ死刑も鞭打ちも嫌ですが)
性行為なんて個人の自由なんですからそれぞれ自由にやらせておけばいいのにどうして死刑にするんでしょうか。
理由はひとえに、ブルネイがイスラム教の国だからです。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は呼び方が違うだけで実際は同じ神を信仰する唯一教ですが、その中でも特にイスラム教の教えは厳しいイメージがあると思います。
例えば、
- イスラム教とはイスラム教徒以外と結婚してはいけない。
- 女性は肌を見せてはいけない。
- お酒を飲んではいけない。
- 豚を食べてはいけない。
などなど、探せば切りがないかもしれません。
イスラム教徒は全員がこれらの厳しい戒律を守っているかというと、そういうわけでもなく、かなりの数のイスラム教徒が自分なりにゆるく解釈しています。
厳密に解釈するとタバコなどの中毒性があるものはNGらしいですが、吸っているイスラム教徒はたくさんいます。
イスラム教徒ではない人と結婚している人もいるでしょう。
両思いなのに宗教の違いから結婚を諦めるのは辛すぎます。
ビッグイシューの誌面では、同性愛の認められないブルネイから認められているカナダへ難民申請する女性が紹介されていました。
ブルネイは税金がなく医療費もかからない世界有数の金持ち国家です。
その国を捨てるなんてありえないと思う人もいると思います。
でも同性愛者にしてみると、同性愛を認めてくれないなら住む価値はない国ということなんですね。
お酒を飲めない、豚を食べられないといった食に関する肉体的な制限よりも、好きなパートナーを選べないという精神的な制限の方が人間にとっては辛いことなのかもしれません。
ブルネイに対する国際人権団体の猛抗議が届き、生まれ育った環境で好きな人と暮らせる人が増えることを願うばかりです。
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