【となりの難民・感想】日本一難しい試験は難民申請?絶対に知っておくべき外国人虐待・人権無視の実態

となりの難民 織田朝日

「難民」と聞くと日本から遠く離れた地で起こっている問題、他人事のように思うかもしれない。

シリアやアフガニスタンなどの中東諸国、ミャンマーのロヒンギャ問題などを思い浮かべる人が多いんじゃないかな。

でも実際は日本国内でも難民に関する問題は毎日発生しているし、場合によっては外国で起きている難民問題よりも深刻なケースもある。

そこで今日は「となりの難民」という書籍を紹介しながら日本国内で発生している難民問題について簡単に解説していこうと思います。

難しい話や専門用語は専門書に任せることにして、このページではひとまず全体感を掴めるように簡単に解説していきます。5分以内に読み終わります。

 

そもそも難民ってどんな人?

国際連合本部

難民を文字通りに解釈すると「難しい人」です。

では何が難しいでしょうか?

それを考える上で参考になるのが1951年に制定された「難民の地位に関する条約」に書かれている難民の国際的な定義です(↓)

1951年の「難民の地位に関する条約」では、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた」人々と定義されている。
引用元:UNCHR

ざっくりとまとめると「国外に逃げざるを得なかった人たち」ということです。

つまり難民とは自国に住むことが難しい人ということですね。

 

このように厳密な難民の定義によると「難民=他国に逃れた人」になります。

しかし紛争など何らかの理由により故郷を離れざるを得なかったものの、国外には出ていない人はもいます。

このような人々は国内避難民と呼ばれ、広義の難民に分類されるというのが国際的な見解です。

 

ものすごく簡単にまとめてしまうと「難民=故郷に戻れない人」です。

難しい定義なんて気にせずこのくらいのざっくりとした認識でいた方が頭に残るはずなので、定義を覚えようとして挫折するより100倍いいですよね笑

 

故郷を離れた難民はどこで暮らすの?

難民キャンプ

自分の力ではどうすることもできない事情によって故郷を離れるしかなかった人々は一体どこにいくのか?

これが本当に大きな問題です。

故郷で暮らせないならどこか別の場所に行かなければなりません。

でも国籍を持たない国に移り住んで生活基盤を作るのは大変です。言葉が分からないなら尚更です。

外国では何をするにもビザなどの正式な許可証が必要ですが、故郷から必死で逃げてきた人たちがそんなものを持っているケースは稀です。

寝ているときに火事が起きたら何も持たずにとりあえず外に逃げますよね?

で、パスポートやら通帳やら大事な書類は燃えてしまって取り戻せなくなります。

この場合は役所などに行って再発行してもらえばいいですが、難民の場合は国外に逃げ、二度と戻ることはできないわけですから再発行なんてできるわけがありません。(国に戻ったら殺されるか、一生刑務所の中に入れられてしまいます。)

ということで、正式な書類などを持たないまま外国に逃げた外国人は、逃げた先の国に事情を説明し、滞在する許可をもらう必要があります。

この許可をもらうプロセスが「難民申請」と呼ばれるもので、ニュースなどで報道されることもあるので聞いたことがある人が多いと思います。

でも難民申請した後のことはあまり知らないんじゃないでしょうか?

実は日本の難民申請は世界でも有数の超ハイレベル試験なんですよ。

弁護士や公認会計士、医師などの難しいことで有名な国家試験が比較にならないほどの合格率の低さです。もはや宝くじに当たるようなものと言ってしまってもいいかもしれません(泣)

 

日本で難民申請が認定された人は20000人中のわずか20人

日本で最も難しい国家試験はなんだろうか?

そう聞かれたら「医師・公認会計士・弁護士」あたりを思い浮かべる人が多いと思います。

そこで実際に合格率を調べてみました。

医師試験の合格率

 

意外かもしれませんが、実は医師試験は日本でも有数の受験すれば合格する試験です。

合格率は平均で90%です。

医学部に入るのが難しいので、そこで第一の関門があり、医師試験を受ける前に本当に頑張って勉強しているから90%も合格するというのが実態かもしれません。

僕は医学部出身でも医者でもないので詳しいことはわかりませんが、医師試験の合格率だけを見ると驚くほど高い合格率ということになります。

 

公認会計士試験の合格率

 

公認会計士試験の合格率は平均で10%前後です。

こちらは文句なしの狭き門ですね。

2006年から2008年にかけて合格率が跳ね上がる謎の現象が起きていますが、それでも20%を下回っているので難しいことに変わりはないでしょう。

 

司法試験の合格率

 

司法試験の合格率は公認会計士試験を超える合格フィーバーです笑

それも2〜3年ではなく2010年以降ずっと高い確率を維持しています。

昔はずーっと合格率が3%くらいの超難しい試験でした。

司法試験が日本の国家試験の中でもトップクラスの難易度みたいな印象を持っている人は、昔の司法試験の印象が強い方ですね。

実は司法試験は2000年に入ってから合格率を上げるために大改革が行われました。

あまりにも難しかったせいで法曹関係者(弁護士や検事など)が人材不足となり、簡単にせざるを得なかったことが要因です。

合格者を出しすぎたのでもう一度司法試験を難しくしようという話もあるらしいので、弁護士になりたい人は今のうちに受験しておいた方がいいかもしれません笑

 

難民申請の認定率

さて話を難民に戻します。

最も難しい昔の司法試験の合格率が約3%でした。

では日本の難民申請認定率はどのくらいなんでしょうか?

 

あまりにも低すぎてもはや数値が読み取れませんが、一番右の2017年の認定率が0.1%です。

約20000人が申請し、たったの19人しか難民として認められませんでした。

 

20000人が受験して20人しか合格しない試験なんてきっと日本のどこにもありませんよ。

しかも難民は故郷に帰って正式な文書などの証拠を持ってくることができないんだから、一度難民申請が認められなければ次回以降も認められないことが多い。

日本は故郷から逃げてきた人々に救いの手を差し伸べない冷たい国と批判されても全く弁解の余地がないんじゃないかな。

 

難民として認められない人はどうなるの?

難民として認められないなら日本を出ていくしかないのかというと、実はそうではありません。

特別在留許可や仮放免などの代替措置によって一時的に滞在が許されるケースもあります。

しかしこれはあくまでも一時的な処置であり、いきなり取り消されることもあります。

そして滞在許可を取り消された人は強制的に収容所に連行されます。(アウシュビッツと変わらないですよね泣)

 

この収容所が刑務所よりもひどい施設なんじゃないかってことを僕ら日本人は知っておいた方がいいです。

ニュースでたまに取り上げられるけど本当にたまーになので記憶に残りません。

1分程度の動画を載せておくので、日本人職員が過剰な対応(もはや暴力?)をしている様子を見てください。

 

また収容所に入れられた人の人権を無視する行為によって、不自然な病死や自殺も発生しています。

となりの難民

出典元:となりの難民

 

医療放置による病死は、医者を呼んでほしいと頼まれたにもかかわらず無視・放置した結果、死んでしまったケースです。

これはもう殺人と変わらないでしょう。

 

上記動画で必要以上の人数と力で強制的に締め上げている様子を見れば「強制送還中の制圧による窒息死」が起きても全然おかしくありません。

窒息死させた職員たちは遺族に訴えられましたが、「窒息死させるつもりはなかった。暴れたから仕方なかった」などと容疑を否認し、裁判でも勝ったようですね。司法がちゃんと機能しているのか疑ってしまいます。

 

難民問題は遠い異国ではなく日本国内で起きている

となりの難民 織田朝日

「難民」と聞くと日本から遠く離れた異国で起きていること。

難民問題は人権や政治に関わる繊細な問題で難しい。

そんな気がしてしまいますが、実際は日本国内で起きている問題です。

別に複雑で難しい問題でもなく、ただ難民申請を認めてあげるだけで何万人もの外国人が救われます。

どうして外国人に永住権を認めてあげないんだろうか?

犯罪率が高くなる?日本人の仕事がなくなる?生活保護の受給が増える?

本当にそうなるのかは甚だ疑問です。

どうしようもない日本人もいれば、素晴らしい外国人もいる。もちろんその逆もある。

 

となりの難民という本は難民問題に取り組んでいる織田朝日さんという女性が実体験に基づいて書かれた本です。

複雑で難しい問題という印象を持たれがちな難民について身近な話題を交えながら分かりやすく解説してくれていて、とても勉強になります。

分厚い小説でもないのでちょっとした息抜きのつもりで手にとってみてはいかがでしょうか?

 

 

ではまた

周登

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