【ビッグイシュー364号】世界中にある面白い移動図書館を紹介【ロバ・ラクダなど】

ビッグイシュー364号
海外出張に出てしまい買いそびれていたビッグイシュー364号をメルカリで買いました笑
 
(ビッグイシューはバックナンバーの販売が3冊からなので1冊だけだと買えないです)
 
364号の世界短信というコーナーに小さく取り上げられていた「ロバの移動図書館」がとても面白い特集だったので紹介しますね。
 
世界には日本人が想像する図書館とは全く異なる図書館がたくさんあるようです。
 
移動する図書館ですからね笑
 
 

メキシコのシナカンテペック村は識字率60%

 
日本で生まれ育った人の日本語識字率はほぼ100%です。
 
それに対してメキシコのシナカンテペック村のスペイン語の識字率はわずか60%、つまり10人中4人は読み書きができません。
 
住民の多くは「ナワ語」を話し、中にはスペイン語教育を全く受けていない世代もいるそうです。
 
 
親がスペイン語を話せないし書けないので子どもに教えることができない
スペイン語を話さないまま大人になる
その子どももスペイン語の読み書きができない
 
 
このように世代を超えて識字率の低さが続いています。
 
そんな状況を変えるためにメキシコで始まった取り組みが「ロバの移動図書館」です。
 
 

移動図書館は過疎地や山間部など常設の図書館を作るのが難しい地域で大活躍

ビッグイシュー364号ロバの移動図書館

出典:ビッグイシュー364号誌面

 
図書館といえば大きな建物の中に大量の本が置かれていて、好きな本を1−2週間くらい借りられる。
 
そういうイメージですよね。
 
でも世界にはまったく違った図書館がたくさんあります。
 
 
そのうちの一つがビッグイシュー364号で紹介されていた「メキシコのロバの図書館」
 
 
ロバは悪路に強く、重い荷物も運べるパワフルな動物で、車や人間が本を運べない地域・村に行く際にとても役立ちます。
 
識字率を上げるために本は欠かせない存在です。
 
ロバの図書館によってシナカンテペック村の住民がスペイン語の読み書きをできるようになり、生活環境が改善されるといいですね。
 
 

世界中にある面白い図書館を紹介

my librarian is a camel
 
ロバの図書館以外にも面白い図書館があるのでは?
 
そう思い調べてみたところ、面白い本を見つけました。
 
原作は上の写真の通り英語ですが「図書館ラクダがやってくる」というタイトルで日本語訳も出版されています(↓)
 
図書館ラクダがやってくる
 
 
この本では世界13カ国に実際に存在する様々な移動図書館についてまとめています。
 
今回は特に気になった3つの移動図書館について紹介しますね。
 

ケニアのラクダ図書館

 
まずは書籍タイトルにもなっている「ラクダ」を使った移動図書館です。
 
一般的な移動図書館はみなさんが想像するように、バスやバンを改造した車で本を運びます。
 
しかしケニアでは砂漠の砂が邪魔をするため、たとえ4輪駆動車であっても通れない道があります。
 
そしてそういった道の先に住んでいる人々の村には図書館はありません。
 
 
そこで砂漠の移動手段として効率の良いラクダが使われるようになりました。
 
 
さて砂漠に住んでいる人たちがラクダを使って荷物を運んだり、移動したりしていることは超有名ですよね。
 
では、そんな超便利な移動手段であるラクダは1度に何冊の本を運ぶことができるでしょうか?
 
 
A、B、Cから選んでみてください。
 
 
A、100冊
B、300冊
C、500冊
 
 
正解は「C、500冊(約180kg)」です。
 
 
AやBを選んだ方が多いと思います。500冊も運べるなんて思いませんよね?
 
僕もビックリしました!
 
一頭で500冊も運べるなら数頭を使えばとても充実した移動図書館になりますね。
 
唯一の問題はスピードでしょうか。
 
ケニアの図書館員がこの本で紹介されている村までたどり着くためにかかる日数は片道5日です。
 
しかしそこまで時間をかけてでも本を届ける理由はひとえにそこに本を求めている人々がいるからです。
 
日本では日常の中に当たり前に図書館があります。
 
本が読みたければ、自分の好きなときに図書館へ行って、無料で好きなだけ読めます。
 
しかしケニアの子どもたちは違います。
 
図書館のない村で生活し、来る日も来る日もラクダの移動図書館が到着するのを待っているのです。
 
どうしてそんなに移動図書館が待ち遠しいのでしょうか?
 
その答えは、この本の中で度々繰り返されているこの文章に集約されています。
 
 
Book is as important as air or water.
本は空気や水と同じくらい大切である。
 
 
日常の中に図書館、そして本が溢れている日本人は本と空気と水が同等の価値を持つ、人間が生きるために必須の要素と言われてもピンと来ないかもしれません。
 
しかしほとんど孤立したような遠隔地に住んでいる人々にとって、本は外の世界と繋がることのできる唯一無二の手段であり、将来に希望を抱かせてくれるものです。
 
もちろんインターネットなんてありませんから、ラクダの移動図書館と本だけが外界と彼らをつなぐ手段なのです。
 
それを知っているからケニアの図書館員は過酷な砂漠を5日もかけて移動するのだと思います。
 
体力的にはきついでしょうが、きっと仕事のやりがいは相当大きいだろうということは簡単に想像できます。
 

カナダの郵送貸出サービス

 
カナダ北部に広がるヌナブト準州は世界第2位の広さを誇るカナダの面積の約20%を占める最も大きな州です。
 
北極圏に位置する過酷な環境のため人口は約4万人と多くありませんが、その約80%は先住民族であるイヌイットと言われています。
 
このように広大なエリアにわずか4万人しか住んでいないわけですから、当然常設の図書館がある場所は限られています。
 
ヌナブト最大の都市イカルイトやオーロラ観光で有名なイエローナイフなどですね。
 
 
さて、その他の図書館がない地域に住んでいる人たちはどのように本を読んでいるでしょうか?
 
 
先ほど紹介したようにこのエリアは広大です。
 
バスなどの通常の移動図書館だけでは全然本を届けられません。何せ日本の総陸地面積の5倍あるのです。
 
そこで、郵便を利用した本の貸し出しサービスが生まれました。
 
なんとこの地域に住む人々は、大人も子どもも希望者は全員、カナダ国内の図書館から読みたい本を無料で郵送してもらうことができるのです。
 
さらに切手の貼られた返信用封筒も同封されているので返却も無料です。
(一回の郵送につき、最大で6週間本を借りることができます。)
 
カナダでは郵便局員が移動図書館員でもあるということですね。
 
これはヌナブトに住む人々にとって本当に嬉しいサービスですが、おそらく財政上の負担はそれなりに大きいでしょう。
 
それでも継続してサービスを提供しているというのはきっと、book is as important as air or waterの精神をカナダ政府も持っているからでしょうね。
 
ちなみに日本にこんなサービスはないだろうなあと思って検索してみると、なんとありました。
(僕が知らないだけでした。日本の図書館員の皆さん、こんなことを言って申し訳ありませんでした。)
 
ただ、基本的に障がいなどの何らかの合理的な理由により図書館に通うことが難しい人に対して本を郵送するサービスで、運用の細かいルールは実施自治体ごとに異なります。
 
ただし一般的に、利用者が費用を負担するケースがほとんどですので、残念ながらカナダのサービスほど充実しているとは言えないようです。
 
 

フィンランド・スウェーデン・ノルウェーの共有移動図書館

 
島国である日本では考えられませんが、フィンランド・スウェーデン・ノルウェーには3カ国を周回する「共有」の移動図書館があります。
 
しかし、それぞれの国の中心地を周っているわけではありません。
 
北極圏に入ってしまうほどの北部(Laplandと呼ばれる地域)を周っています。
 
そこは冬は日照時間がわずか4時間(日の出:10時、日の入り:14時)、夏は一日中、日が沈まない白夜の発生する地域で、1年を通して氷と雪に囲まれています。
 
ただインターネットは繋がりますから、ケニアの子どもたちのように外界の情報に飢えているわけではありません。
 
それにもかかわらず、この地域に住む人々は自分の住んでいる場所に移動図書館車が来るのを心待ちにしています。
 
そのことを不思議に思う方もいるかもしれません。
 
でもその理由を知ると、きっとこれまで考えたこともなかった移動図書館の効果、本を貸し出すだけではない移動図書館の姿が見えてきますよ。
 
その答えはこちらのリンクから動画を見ていただければわかるのですが、少々長い(約25分)ので要約してみました。
 
(お時間のある人はぜひ動画を見てみてください。とても考えさせられる、内容の深いドキュメンタリーです。)
 
 
この地域は上述のように、過酷な環境のためどの街の人口も決して多くありません。
 
家々が離れていたり、商店がなかったり、または銀行が1週間に1度しか開かなかったりすると、そこには何週間も面と向かって人と話す機会のない人が生まれるのです。
 
そんなとき、自分の住んでいる場所に移動図書館が来ると、彼らはすぐに移動図書館車を訪れます。
 
しかし、基本的に本は借りません。ただ、図書館員と話すだけです。
 
でもたったそれだけのことで、誰かと話すだけで彼らの心は救われるのです。
 
移動図書館が持つ大切な役割とは「住民の心のメンテナンスをしてくれること」
 
先ほど紹介した動画の中で言われていますが、移動図書館車の図書館員は図書館員であるだけでなく、話の聴き手であり、そして友達でもあるのです。
 
 
移動図書館=僻地の識字教育を行う存在
 
ビッグイシュー364号でメキシコのロバの移動図書館について読んだ時にはそう思っていましたが、どうやら移動図書館の持つ力はそれだけではないようですね。
 
うーん。深い!!
 
 
「図書館ラクダがやってくる」ではこの記事で紹介した図書館以外にあと10種類の面白い移動図書館が紹介されています。
 
興味を持った方は本を手に取って読んでみてください。
 
 

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周登
ではまた!

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