【ビッグイシュー383号】多様性保全の最後の砦「スヴァールバル種子保管庫」に全世界の種子が集められているらしい

ビッグイシュー383号

以前にビッグイシュー361号の記事を紹介しました。

知らないうちに地球上のほぼ全ての野菜の種子が失われてしまったという内容です(↓)

ビッグイシュー360号

【ビッグイシュー361号】野菜の種子の94%が20世紀に人知れず消滅していたことに衝撃を受けた

2019年8月27日

 

なくなったものを蘇らせるのは本当に大変なことです。

おそらく完全に元どおりにすることは不可能でしょう。

そこで世界中の研究機関が「種子を保管し絶滅を防ぐ」場所に種子を預けています。

 

それが「スヴァールバル全世界種子庫」です。

 

永久凍土の中にひっそりと作られた特殊施設の中で全世界の種子が保管されていると聞くと、なんだかSFっぽくて興味が湧いてきますよね笑

ビッグイシュー383号に潜入記事が載っていたので紹介します。

 

スヴァールバル全世界種子保管庫の概要

スヴァールバル全世界種子庫

出典:ビッグイシュー383号

 

スヴァールバル全世界種子保管庫はノルウェー領スヴァールバル諸島に建設された施設です。

ほぼ北極という場所にあるため一年を通して氷に囲まれていて、停電時にも種子を冷凍保管できるんだとか。

 

地図で見るとどれだけ僻地にあるのかよく分かります(↓)

 

このように、あまりにも僻地にあることから不法侵入されるリスクも少ないです。

もし種子を盗みたいなら施設の周辺に住んでいる野生のシロクマにご注意ください笑

 

スヴァールバル全世界種子庫はその名の通り、全世界から種子を預かっています。

ビッグイシュー383号

出典:同上

 

ではここで問題です。

 

スヴァールバル全世界種子庫に保管されているマメの種子は何種類あるでしょうか?

答えは「4万種」です。

 

マメの種類に4万種もあるの?

そう思っちゃいますよね笑

 

ではもう1問!

 

小麦の種子は何種類預けられているでしょうか?

(ヒント:マメの4万種よりも多い数字です)

答えは「15万6000種」です。

多すぎて笑っちゃいますよね。

 

1日1種類の小麦を食べ続けても15万6000種の小麦を食べるためには400年以上かかります。

1日10種類食べ続ければ40年なのでなんとか死ぬ前に全種類を食べ切れるかな笑

 

【100年実験】5年ごとに発芽実験し種子の有効性を確認

種子を凍らせてしまえば半永久的に種子を守ることができそうな気がします。

でも現実はそんなに甘くないようです。

実は種子の保管には品種ごとに限界があります。

5年や10年も凍らせておくと、解凍しても発芽しなくなってしまうんだとか。

ただ、どの種子が何年間の冷凍保管に耐えられるかは過去のデータがないため分かりません。

 

そこでスヴァールバル種子保管庫では「100年実験」という取り組みを行っています。

これは古い種子を5年ごとに解凍して発芽するか実験するという試みです。

無事に発芽したものから新しい種子をとって代替わりさせれば、少なくとも次の5年間は安全に種子を冷凍保管できます。

中には発芽しないものもあるので、そういった種子は残念ながら保管失敗、絶滅してしまう可能性もあるでしょう。

しかし種子の保管庫はスヴァールバル以外にもいくつかあるため、スヴァールバルがダメでも他の保管庫には有効な種子が残っているという可能性もあります。

 

このように人知れず全世界の研究機関が協力して種子の多様性を守っているんですね。

 

どうして種子の多様性を守る必要があるのか?

ビッグイシュー383号

出典:同上

スヴァールバル種子保管庫が壮大なプロジェクトであることは分かりました。

でもどうして莫大な時間とお金をかけて種子を守っているのか不思議に思う方もいると思います。

だって、日常生活の中で普通に触れている植物や野菜の種子は自然と代替わりしていくので絶滅することがないし、一見すると、わざわざ栽培しない野菜の種の保管する理由もないように見えます。

農業もビジネスなので、収穫量の少ない品種や育てにくい品種が淘汰されていくのは仕方のない面もありますよね。

その結果、全世界から94%の種子が失われ、全世界の人々が特定の種子に頼って生活するようになりました。

 

しかしこのような状態では、その特定の種子が病気にかかった場合に全世界の食料供給網が崩壊します。

そして、その特定の種子以外の野菜を育てようとしても種子がないので育てられません。

そこで不測の事態に備えて、現在栽培されていない種類の種子を保管しておく施設が必要でした。

 

スヴァールバル全世界種子保管庫は多様性を担保し、人類の未来を守る最後の砦とも呼べる存在なのかも。

 

この話を書いていて思い出しましたが、近親者との結婚が禁止されている理由も多様性の担保という点では野菜と同じですね。

遺伝的に似通った親兄弟や親族との婚姻・出産を繰り返すと病気にかかりやすい子どもが生まれ、いずれその一族は滅びます。

多様性の担保は全てを支える土台づくりということなんでしょうね。

本当に遠いですが一度スヴァールバル保管庫に行ってみたいなあ笑

 

ビッグイシューを売っている場所やその他の詳しい情報は公式ホームページから確認できます。また、ビッグイシュー基金を通して寄付を行うことも可能です。興味のある方は以下の公式サイトを確認してみください。

ビッグイシューホームページ

ビッグイシュー基金ホームページ

 

周登
ではまた!

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