ビッグイシュー388号を読んでいて「日本国内でもマラリアが猛威を奮っていた」という衝撃の事実を知りました。
日本=マラリアにかからない国だと思っていたのでかなりびっくりしましたが、さらにそのマラリアに苦しんだ人々は偶然マラリアにかかったわけではないということも驚きでした。
この事件は戦時中に起きた悲劇であるため「戦争マラリア」と呼ばれています。
おそらく歴史の教科書にも記載はなく、日本国民の数%くらいしか知らないのではないかと思い、簡単にまとめておきます。
目次
沖縄で起きた「戦争マラリア」とは?
1945年、戦時中の沖縄の八重山諸島(石垣島や西表島など)でマラリアにかかり約3600人の人々が亡くなりました。これは当時の人口の約10%にあたります。アメリカ軍が上陸して地上戦が繰り広げられたわけではない離島において、これだけの人数が亡くなっているのは異常ですね。
なぜ八重山諸島だけでそんなに多くの人がマラリアにかかって亡くなってしまったのか?
その理由は「マラリアの病原菌をもつ蚊が生息しているジャングル地帯に、日本軍が住民を強制的に移住させたから」です。ジャングル地帯にマラリアの脅威があることを知っていながら強制移住させたので、もはや殺人と言ってもいいかもしれません。
当然、住民たちもジャングル地帯の危険さを承知しているので拒否したと思います。しかし日本軍が派遣したとある人物の脅しにより移住せざるを得なかったようです。
青年学校の教員は日本軍のスパイだった!?
勝手なイメージですが、日本人や日本軍には「正々堂々と戦い、潔く死ね」みたいな価値観があ、裏でコソコソと動いて情報を抜き取るスパイは日本軍の気質とは合わない気がしていました。
でも実際のところ、日本軍の中にもスパイ養成機関はあり、国策としてスパイを育てていたようです。そしてそのスパイ養成機関の卒業生が沖縄県の波照間島に青年学校の教員として赴任していました。スパイとしての教育を受けているわけですから、きっと問題なく周囲の人々に溶け込んでいたと思います。
しかし、、、とある日に急に軍服を着て帯刀した姿で住民の前に現れ、「ジャングル地帯に移住しなければ殺す」と脅したそうです。移住を拒否したらその場で殺されるわけですから、移住するしかありません。そして移住先でマラリアにかかり次々と亡くなっていきました。本当に恐ろしい話です。
当時の様子を知る生存者にインタビューして作成されたドキュメンタリー映画があるので2分ほどの予告編を載せておきます。ビッグイシュー388号で戦争マラリアについて話されているおおやはなよさんが共同監督として作った作品です。
教科書に載っていない歴史こそ大切なのかもしれない
今回の記事を読んでいて本当に驚いたことは「戦争マラリアについて学生時代に習った記憶がまったくない」ことです。
その国の教育方針に沿って教科書が作られている以上、伝えたくないことは書かないし、書く場合も印象がよくなるように書き振りを修正します。都合の悪いことを書いたら教科書の検定に通らないのでビジネスとしては従わざるを得ません。
他国の教科書が歴史を歪曲していると批判することもあると思いますが、それは多かれ少なかれ日本もやっていることなんですよね。教科書検定に落ちてしまった教本を読んだ方が勉強になるのかも知れないなーと思いました。
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