海外旅行に行けば、絶対にタクシーやバイクなど何かしらの乗り物に乗ります。そしてたいていの場合、その国独特の謎の交通ルール、運転の荒さに驚きます。ミャンマーのような途上国であればなおさらです。
市内のバイクタクシー、タクシー、都市間の長距離バスなど観光に訪れるたびにミャンマー人の運転の荒さに肝を冷やしています(笑)
こういう話をするとミャンマー人の気性が荒いんだろうか?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろミャンマー人は他の東南アジアの国々に比べたら温厚な人たちです。
実はミャンマー人の運転の粗さには、性格ではなく、交通ルールに問題があるんです。
ということで、今回は交通ルールに関するミャンマー政府のプライド?によって国民と観光客が翻弄されてしまったという話をしようと思います。
目次
ミャンマーは右側通行?左側通行?
交通ルールの最も根本的なものの一つは、車線のどちら側を通行するかです。
日本で育った僕は、日本の交通ルールが左側通行なのでなんとなく世界中の国も左側通行なんだろうと勝手に思っていました。でも実際に国際的な交通ルールを調べてみると、実は左側通行のほうが少数派です。
有名どころだと、イギリスやオーストラリアなんかも左側通行の国ですね。中国が右側通行なのに、かつてイギリスの植民地だった香港がいまだに左側通行なのは面白いですよね。
で、本題のミャンマーですが、2019年現在は右側通行です。でも以前は日本と同様に左側通行だったんです。具体的には、1975年当時の軍事独裁政権(ネ・ウィン時代)に唐突に右側通行に変更されて以来、右側通行が続いています。
しかし現在に至るまで、なぜ当時の軍事政権が無理やり右側通行に変えたのかは分かりません。輸出入の大お得意様の隣国タイが左側通行なのにミャンマーを右側通行に変えるメリットは一つもないと思います。運転間隔が狂って交通事故が起きる確率が上がっちゃいますよ。
結局どうしてこんなに意味不明な変更をしたのか、その理由をミャンマー人に聞いてみてもはっきりとした理由は分かりませんでした。でもよく聞く話はあります。
それが、軍事政権幹部が植民地時代の宗主国であるイギリスと同じ左側通行に納得がいかなかったからというなんの役にも立たない意地とプライド500%の理由です笑(ちなみに、ミャンマーの首都をヤンゴンからネピドーに遷都した理由は、国家お抱えの占い師による助言が理由という話もあります笑)
でもこのプライドのせいで、ミャンマー人も観光客も本当に苦労しています。
なぜならミャンマー国内を走る車の約9割(感覚値)が日本からの輸入車で右ハンドルだからです(泣)
ミャンマー国内の車事情
観光でミャンマー国内を広く歩き回りましたが、どこに行っても走っている車は日本の中古車です。塗装などがそのままになったものばかりなので、社名やロゴ、電話番号などもそんまま書かれているので初めて見た人はびっくりすると思いますよ。
「〇〇株式会社」とか「〇〇運送」の横に書かれた電話番号にかけたらつながってしまうかもしれません笑
ということで、ミャンマーには日本の中古車があふれているわけですが、一番の問題は電話番号ではなく「日本車が基本的に右ハンドル」ってことです。
右側通行のミャンマーを右ハンドルの車で運転するとどうなると思いますか?
写真で見てもらったら一発で分かりますよ(↓)
車の位置がほぼ道路の中央です。
右側通行の道路を右ハンドルの車で運転すると対向車が見えないので、いつもセンターライン上を走って追い越しの機会を狙っているわけです(泣)
追い越しを狙っているけど、結局この位置(↓)まで来ないと運転席から対抗車を確認することはできません。
対抗車が見えてから右側の車線に戻って、また中央に戻って、以下その繰り返し、、、
反対車線の車も同じことをしているわけですから、判断が遅れると道路中央で正面衝突です。実際、そのような事故現場も何回か目撃しました。まあ、はっきり言ってしまうと車間距離をとればこの問題はすぐに解決するんですが、ミャンマー人は前方車にべったりくっついて走るのがお決まりなので、それは直りません(泣)
そんな状況を見て、2017年にミャンマー政府は「2018年以降の右ハンドル車の輸入禁止」すると発表しました。
もう一度、左側通行に戻すのはプライドが許さなかったのか、信号機などのハードの変更にお金がかかるからなのかはわかりません。とにかくミャンマー政府は左側通行に戻すのではなく「右ハンドル車」を輸入禁止にして事故撲滅を目指すことにしたわけです。
でも残念ながら日本の中古車はなかなか壊れてくれないし、壊れても誰かが修理してしまうのであまり減っていないようです。これから何十年もかけて徐々に右ハンドル車は減っていくはずですが、いったい何年かかるんでしょうか?
助手席に座る人の特別な役割
繰り返しになりますが、ミャンマーは右側通行・右ハンドルです。
これでは追い越しするときに事故を起こす危険があるため、ミャンマー国内で助手席に座る人には「運転手に対向車線の状況を伝える」という大事な役割があります。ミャンマー語が分からないからなあと不安がる必要はありません。対向車の状況を伝えるために必要な言葉は以下の2種類だけです。
カーラーデ(対向車が来ています)
トートー(行っていいよ)
簡単ですよね?
ぜひ使ってみてください。
でも一番のオススメはミャンマーでは右ハンドルの車の助手席に座らないことです。
いちいち対向車線を見てドライバーに声をかけていたら面倒くさいですからね(苦笑)
ミャンマーでは助手席に座った人に特別な役割がある
これはもうミャンマーの文化みたいなものなので、座ってしまったらドライバーに協力しましょう。
郷に入っては郷に従え
ミャンマーに来たらミャンマーの交通ルールに従え
ですね。
ではまた
周登
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