Kindle unlimitedのラインナップを確認していたらものすごく勉強になる+面白い本があったので紹介します。
その本は「学力の経済学」です。
なんだかお堅いタイトルですが、扱っているテーマが面白いのでスラスラ読めました。
知らなかったんですが、少し調べてみたら30万部以上もベストセラーでした。
そりゃ面白いはずですね笑
例えば
- 子どもをごほうびで釣って勉強させてもいいの?
- ほめて育てた方がいいの?厳しく育てたほうがいいの
こんな興味深いテーマについて話しています。
知っておくと将来の子育てに役立つこと間違いなしの必読書なので、ポイントをまとめてみました。
目次
そもそも教育経済学とはどんな学問なのか?
この本の著者である中室牧子さんは教育経済学者です。
しかし僕はこれまで教育経済学なんて単語を聞いたことがありませんでした。
とりあえずWikpediaで調べてみると、、、
ちなみに著者の説明によると、 科学的根拠(数値データ)を元に教育を分析する学問とのことです。
こっちの説明の方が短くて分かりやすいですね。
そしてその説明通り、この本の中で解説されている話はすべてデータによる裏付けがあります。
200ページ弱の本編で多くのトピックを取り上げていますが、その中でも特に紹介したいと思った以下の3点について書いていきます。
- 子どもをごほうびで釣るのは問題ない?
- 子どもはほめて育てるべきか?
- 非認知能力の重要性について
子どもをごほうびで釣るのは全く問題ないけど、ごほうびの設定方法に工夫が必要
「テストで100点をとったら欲しいものをなんでも買ってあげるわ。」
「本当?じゃあ勉強頑張るよ。」
子どもだった頃、親とこんな会話をしたことのある人は大勢いると思います。
もちろん僕も母親とこんな会話をしていました。
でも親世代の年になって、自分がご褒美をあげる側になると親がこんな悩みを感じていたことに気づきます。
- ごほうびがないと頑張らない子どもになってしまうのでは?
- そもそもごほうびをあげないと子どもを勉強させられないなんて親失格だ
そんな悩みを抱える子どもを持つ両親に朗報です。
教育経済学はごほうびで釣って子どもを勉強させる方法の有効性を証明しています。 ただしどのようにごほうびをあげるかをしっかりと考える必要があります。
自分に子どもがいて、その子どもの成績を向上させたいと思っている状況を想像してください。
そして成績をあげるためにごほうびで釣って勉強させる方法を使うことにしました。
さて次の2つの方法のうち、どちらを選択すれば子どもの成績は上がるでしょうか?
A、本を一冊読んだら、ごほうびをあげる
B、テストでいい成績を取ったらごほうびをあげる
先に紹介した会話「テストで100点取ったら・・・」はBと同じですね。
きっとほとんどの家庭でこの方法(B)が選択されていると思います。
テストでいい成績をとるという直接的なゴールに向かって子どもが勉強してくれそうですからね。
でも残念ながら、成績が上がる可能性が高いのは A です。
もちろんBの方法が全く効果がないわけではありません。
しかし教育経済学によってAの方が高確率で成績が上がることが証明されているのです。
その理由は以下の通りです。
Aの子どもはごほうびをもらうために何をすればいいか分かるのでそれを実行します。
この例では、ごほうびが欲しければとにかく本を一冊読み終わればいいわけです。
宿題を終わらせたらごほうびをあげるというのも良いですね。とても具体的です。
一方、Bの子どもはごほうびをもらうために何をすればいいか分かりません。
ごほうびが欲しいのでやる気はある。
でもテストの点数をあげるために具体的に何をすればいいのか分からないので、点数は上がらないのです。
この部分は読んでいて、超納得しました!
確かにゴールだけ設定されても達成するのは大変ですけど、そこに至る過程・手段を示してもらえれば達成できそうな気がします。
ごほうびはアウトプット(テストの成績向上などの目標)ではなくインプット(本を読む、宿題をするなどの具体的手段)に設定するべし!
これを知っている親は子どもの成績をうまく上げられる可能性が高いことが科学的に証明されているんですね。
子どもをほめる場合に才能を理由にしてはいけない
子どもをたくさんほめて育てたほうがいいのか?
それとも厳しく育てたほうがいいのか?
ほめ伸ばしは良いのか、悪いのかということですね。
ごほうびに引き続き、これも有名な命題です。
さてこの命題に対して教育経済学はどんな回答を出しているでしょうか。
今回は先に答えを紹介しますね。
「才能や元々の能力ではなく、実際に取り組んだ事実や努力を褒めるべき」
これが教育経済学が推奨する方法です。
つまり、ほめ伸ばしは効果があるけれど褒め方に要注意ということです!
例えば、自分の子どもがテストでいい成績を取ったとします。
それに対して、A、Bの2種類のほめ方があります。
さて、どちらを選択するべきでしょうか。
A、頭がいいわねえ
B、よく頑張ったわね
すでに答えを紹介しているので明白ですね。
答えは B です。
Aのように頭の良さといった才能や元々の能力をほめられた子どもは、才能によって成績が決まると思い込みます。
「いい成績を取ったのは、自分に才能があるからだ」
「悪い成績を取ったのは、自分に才能がないからだ」
このように考えるわけです。
努力ではなく才能で結果が決まると思っているので、当然やる気なんて出ません。成績も下がっていきます。
一方、Bの頑張った努力をほめられた子どもは、成績は努力によって決まると考えるようになります。
「いい成績を取ったのは、自分が努力したからだ」
「悪い成績を取ったのは、自分の努力が足りなかったからだ」
このように考えるので、物事に対して粘り強く挑戦、努力するようになり成績も上がっていくわけです。
ごほうびのあげ方だけでなく、ほめ方にも科学的に証明された推奨方法があるなんてびっくりですよね。
でも自分の子ども時代を振り返ると、どちらかというとAの褒め方をされていたことが多い気がします(笑)
子どもの頃から非認知能力を鍛えると将来的に成功する確率が高い
学校の中では学力が評価基準です。
でも学校の外、社会では違いますよね。
上に挙げた自制心や忍耐力、対処能力などの非認知能力は学力以上に重要な役割を果たします。
そのように大事な非認知能力ですが、著者は成績向上・社会的成功に深く関わる特に重要な非認知能力として、以下の2つの力を紹介しています。
自制心
自制心の重要性は「マシュマロ実験」と呼ばれる有名な研究の結果をみれば明らかです。
実験の内容はこうです。
- 200人弱の4歳児にマシュマロを一つ差し出します。
- その後「このマシュマロをいつ食べてもいいけど、私がまたこの部屋に戻ってくるまで食べるのを我慢できたら、もう一つマシュマロをあげるよ」と伝えます。 (ただし、いつ戻ってくるのかは伝えません)
- 部屋を出て、15分後にまた戻ってきます。
200人弱のうち、15分間我慢して2つのマシュマロを手に入れた子どもは約3分の1でした。
3分の2の子どもたちは我慢できずに食べてしまったのです。
この実験はその後被験者200人弱の人生を追跡調査し、高校生時点で我慢できた子どもとできなかった子どもの能力に大きな差が生まれていることを確認しました。
我慢できた子どもは我慢できなかった子どもよりも高校の試験の成績がずっと高かったのです。
僕は今までこういった能力は成長する過程で培われていくと思っていました。
でもマシュマロ実験で示されたように4歳児時点ですでにそういった気質はある程度形作られているんですね。
これは本当に衝撃的でした。
つまり、子どもが4歳を迎える前に我慢することを覚えさせておかないと、その後の人生で子どもが自発的に強い自制心を身につける可能性は低いということです。
これはとても大事なことを知った気がします。
やり抜く力
この力の重要性はある有名なTED動画で世界中に紹介されました。
この動画の中で紹介されているように、やり抜く力は才能とは関係なくむしろ反比例します。
でも残念ながら、やり抜く力を鍛える方法は確立されていません。
努力によって結果は変えられると信じること、マインドセットすることが現状確認されている最も有効な鍛え方です。
ただ、ほめ伸ばしの部分で説明した通り、ほめて伸ばす場合は能力ではなく、努力をほめます。
その際に努力の大切さ、努力によって結果は変えられることなどを合わせて説明していけば、やり抜く力は自然と身についていくのではないでしょうか。
まとめ:ごほうびのあげ方とほめ方を工夫すると子どもの能力を効果的に上げることができる
ここまでの内容をまとめます。
- ごほうびはアウトプット(テストでいい成績をとるなどの目標)ではなく、インプット(本読む、宿題をするなどの具体的手段)に設定する
- 才能ではなく、努力を褒める
- 自制心とやり抜く力を鍛えると成績が伸びる、社会的に成功する
1と2は知っていれば誰でも実行できます。
3も知っているのと知らないのでは大きな違いが出るはずです。
「学力の経済学」は全世界の親(と未来の親になる若者)全員が読むべき必読書ですね。
今回は3点のみ紹介しましたが、本編では3点以外の役立つ知識がたくさん紹介されています。
ぜひ手にとって読んでみてください。教育経済学にハマるかもしれません(笑)
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