世の中に無数に存在する学問の中で、最も役に立つ学問はなんだろうか?
IT化が進む現代においてはコンピューターに関連する学問、例えばプログラミングや人工知能に関する知識を持っていると強いかもしれません。
心理学を学べば、相手が何を考えているのか読み取り、自分の思うように相手を誘導できるかもしれません。
経営学を学び、ビジネスで成功を収めるというのも良いですね。
事実、これらの学問は世界中の人に大人気です。
プログラミング、心理学、経営学を学ぶ書籍は本屋にたくさん置いてあるし、通勤や通学中に読んでいる人も見かけます。
では統計学はどうでしょうか?
あまりメジャーではないですよね。僕の周りには統計学を学んだ、または学んでいる知人は全然いないし、これからも現れる気配がありません。
でも統計学こそ人生を豊にしてくれる最も役に立つ学問なんです!!!
今回はそんな大胆な主張を展開する書籍を紹介します。
本のタイトルは「統計学が最強の学問である」
ここまで言い切っていると気持ちいいですね笑
統計学を知っていると人生で得をする
筆者が統計学を最強の学問だと断言する理由は「どんな分野の議論においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができるから」です。
会議や話し合いではよく「私のこれまでの経験に基づくと」とか「他社はこうしたらうまくいったらしい」といったセリフが出てきます。
でも大抵の場合において、個人の経験則だけで物事を決めることは説得力に欠けるのでできないし、他社の成功例が自社においても同様に機能するのか判断することはできません。
そんなときに不毛な議論を終結させる最も効果的な方法は統計データを見せて説明することです。
たった一人の経験ではなくその他大勢の経験も合わせてデータ化してしまえば、それは偶然ではなくなります。
DMを出したら売り上げが伸びたという経験がたった一回では説得力がありません。しかしほぼ毎回売り上げが伸びているのであれば、DMと売り上げ増加には密接な関係がありそうだということが分かります。
「統計学=証拠(数字)に基づいて分析・議論すること」なので、あらゆる分野の話し合いにおいて強力な武器になります。
もちろんビジネスのような堅苦しいではなく、日常のたわいもない場面でも統計学は力を発揮しますよ。
例えば、あみだくじで最もあたる棒はどれか?
この知識を知っている人は知らない人よりも高確率で当たりを引ける、もしくは当たりを回避できます。
当たると商品がもらえるなら当たりやすい棒を選び、あたりが罰ゲームなら最も当たりづらい棒を選べばいいわけです。
ちょっとずるい気がしますが、実際にあみだくじには統計学的に正解があるので、この記事を読んでいる人はラッキーですね笑
心理学の話になりますが、なぜか人間は端を選ぶことを嫌うらしく、あみだくじの両端を選ぶと最も当たりづらくなります。逆に言うと、当たりを引きたいなら真ん中の棒を選ぶのがベストということになります。(その現象をデータで示し分析したのが統計学です。)
マーク式の答案で選択肢がA〜Dまである場合に、なんとなくAとDは選びづらいですよね。その心理と同じです。
このように統計学の知識と経験があれば、日常のちょっとしたゲームにも勝てるし、会議でも説得力のある説明ができるんですから本当に便利ですね。
でもこの本を読んで統計学の知識をつけたせいで夢が一つ壊れてしまいました。
それは「人はスーパーマンにはなれない」ということです(↓)
テラフォーマーズのニュートン家は統計学的にあり得ない存在である
テラフォーマーズ(漫画)を読んでいない人にもわかるように少し説明すると、ニュートン家は代々、優秀な遺伝子を掛け合わせ続けて最高の人間を作り出そうとしている一族です。
テラフォーマーズ内では、頭の良い人、運動能力の高い人、美しい人などを世界中から選んで子どもを作り続けた結果、10種競技金メダリスト兼ハーバード大卒兼スーパーイケメンみたいな男が生まれています。
漫画だからそういう考え方もあるだろうと思うかもしれませんが、実は優秀な人間同士を掛け合わせて優秀な人間を生み出そうという考え方は実際に世界中で実際に試されてきました。
いわゆる優生学と呼ばれる考え方です。
ナチスがユダヤ人を迫害したのも、アメリカや日本で知的障害者や病人、犯罪者が子どもを産めないように断種したのも、優生学と関連があります。
でもユダヤ人を迫害しても、障害者を断種しても人類は進化できません。
そしてテラフォーマーズのニュートン家のように何世代にもわたって優秀な人同士で子どもを作っても超人は生まれないことは統計学によって証明されています。
なぜなら「平凡(平均値)への回帰」と呼ばれる現象が起こるからです。
この現象は身長を例にとると分かりやすいです。
例えば、人間の身長はどこまで伸びるでしょうか。
2m越えの両親から生まれた子どもは2.5mになりますか?
2.5m超えの両親から生まれた子どもは3mになりますか?
ならないですよね。
では150cmの両親から生まれた子どもは140cmくらいで成長が止まりますか?
140cmの両親から生まれた子どもは130cm?
これも違います。
大きな両親から小さな子どもが生まれることもあれば、小さな両親から大きな子どもが生まれることもあります。
全体で見ると、結局のところ平均身長くらいで落ち着くのです。
理論上(身長は両親に従って伸びていく)は点線が左下から右上に一直線に伸びています。しかし実際は実線で示されたように真ん中(平均値)あたりで落ち着いています。
このように平均値に集まってしまうことを「平凡(平均値)への回帰」と言います。
つまりテラフォーマーズのニュートン家のように優秀な人同士で子どもを産み続けても漫画のようなスーパーマンは生まれないということです。
残念ですが、スーパーマンになることは諦めて地道に努力するしかないですね(泣)
かなり横道にそれましたが、「統計学は最強の学問である」にはここに書いていない実践的かつ面白い統計知識が詰まっているのでぜひ読んでみてください。
持ち歩くのが面倒な方には電子書籍版がおすすめです。
ではまた
周登
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